病院と施設の違いを知って、有効に活かそう!

医療機関には「病院」や「診療所」などさまざまな種類がありますが、あなたはその違いを知っていますか?普段何気なく利用していますが、詳しく知っている方は意外に少ないものです。また、病院の中にもいろいろ種類があり、どう分けられているのかご存知ない方も多いかと思います。
今回は、医療機関の中にはどのような種類があり、また、その中でも私たちが身近に利用する病院についてどのような施設の特徴があるのかを説明していきます。これらを知ることで、その時々の病状や状況などにマッチングした医療機関を選択できますし、効率的に医療機関を受診できると思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

❙状況にあった医療施設の選択を

まず、私たちが風邪を引いたり軽い怪我をした時によく利用される身近な医療施設には、主に「診療所」と「病院」、この2つがあげられます。この2つの医療施設の違いは、ベッドの数によって決まりがあるのです。医師が何人、看護師が何人と、医療従事者の数で違いがあるとか、入院の可不可で決まるなど色々聞かれますが、これらは間違いで、単純にベットの数で決まります。
診療所は、ベッド数が19床以下である医療施設のことをいいます。クリニックや医院は、この診療所に含まれます。また、診療所の中にも入院設備があるものと、入院設備がない〝無床診療所″に分けることができます。
そして病院は、ベッド数が20床以上ある施設のことをいいます。診療所では対応しきれない患者を受け入れ、検査・入院・手術などが出来る設備の整った環境にあることが大きな特徴といえます。
すべてが揃う病院の受診が安心だし手っ取り早いと考え、第一選択に病院にかかる方が多いのですが、規模が大きいだけに患者数も多く、受診や検査の待ち時間が長い、さまざまな分野の科に移動するのに時間がかかり、移動距離も長いといったデメリットもあります。本来病院は、入院患者を受け入れることがメインと考えられています。そのため、まずは診療所に受診し、そこで精密な検査が必要となったり、診療所での治療が難しいと医師が判断した時に病院に紹介してもらうといった手順がよいでしょう。病状や状態に合わせて、診療所と病院が連携した医療を行うことが望ましといえるのです。

❙専門化される病院

診療所にクリニックや医院と種類がるように、病院にも種類があります。近年では、成人病や現代社会の背景に配慮して、患者さんに合わせて病院が専門化されてきています。
まずは「一般病院」ですが、これはみなさんがよく受診される総合病院のことで、主に治
療を目的とした病院です。
それに対し、「療養病床」といったものがあり、これは急性期の患者さんは対象外で主に
療養を目的としています。急性期を脱し、症状が安定した慢性期にあたる患者さんが対象で、長期にわたり療養が必要とされた患者さんを受け入れるための病床です。
また、「回復期リハビリ病床」という種類もあります。これは、機能訓練を中心とした患者さんの受け入れをメインとしています。現代社会を反映するように、増加する脳血管疾患により麻痺を生じた患者さんや、多発する交通外傷による身体機能損傷からの回復のため、十分にリハビリが行えるように配慮された施設です。

❙機能別化される病院

上記の一般病院の中にも、さらに機能別に大きく「一般病院」「地域医療支援病院」「特定機能病院」の3つに分けることができます。
診療所は1次診療と言われていますが、「一般病院」から2次診療になります。総合病院と言われるのがこれに当たります。原則として病床数は200床以上とされており、都道府県知事の承認を受けています。診療所では対応が難しい検査・治療を一般病院で行い、急性期から慢性期と多岐に渡り診療します。
「地域医療支援病院」は、一般病院と特定機能病院の中間の役割を果たし、一般病院からの紹介を受けたり、救急を要する患者さんの受け入れを行います。厚生労働省の承認を得ています。また、医療従事者の育成を行うことも義務付けられており、研修を行って医療者の資質向上に努めなければならならないと言った点が特徴です。
「特定機能病院」は、高度先進医療を行う3次の診療の医療機関です。超急性期患者の受け入れや、難治性疾患の患者さんの受け入れをし、集中治療室や無菌室などの施設を設けている病院です。病床数は400床以上で、診療科目は10以上あり、30%以上が紹介患者となります。おもに、大学病院などの大規模施設の病院がそれにあたります。

一口に病院といっても施設や規模が多様化され、そして分類されているのが分かります。このように細分化されてきたのは、患者さんが大規模病院への依存が進み、偏りがでていることが要因です。患者の病状や状況に合わせ、専門的に、診療がスムーズに、そして多くの患者さんが適切な医療を受けることができるよう、国が専門化、機能別化してきたのです。私たちはこれをよく熟知し、大規模病院を乱用せず、状態に合わせた受診を行うことが大切と言えます。一人でも多くの患者さんが早く医師に診てもらえるよう、私たちも協力していくことが大切なのでしょう。

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