自律神経に支配されるカラダ、その病気と症状に注目!

 私たちの体は、意識しなくとも勝手に心臓が動き、呼吸をし、食事をすれば消化をし、体内に栄養素を吸収します。そして、暑ければ汗をかいたりして体温調節をしています。これらはすべて意識的には行えず、すべて自律神経が状況に合わせて働くようになっています。このように、自律神経には大変大きな役割がありますが、このバランスが崩れてしまうと、調整がうまくいかなくなります。場合によっては、私たちの生活も脅かされ、通常に過ごすことができなくなってしまう恐れがあるのです。
 この自律神経のバランスを崩し、つらい思いをされる方が近年増加傾向にあります。仕事だけでなく、日常生活もままならなくなってしまうケースもあります。では、自律神経に関係した病気や症状はどのようなものがあるのかを注目してみまよう。

❙自律神経とは

 まずは、自律神経についてもっと詳しく知識を深めていきましょう。自律神経は2つの種類に分けることができます。下記に詳しく記してみます。

=交感神経=

 交感神経は、主に運動や緊張、興奮、恐怖などのストレスに反応します。そして、体や心を活発にする働きがあります。現代人はストレス社会に曝されている機会が多く、この交感神経を必要以上に過活動させてしまっているといえます。そのことにより、さまざまな病気や症状を引き起こしていると言われています。

=副交感神経=

 副交感神経は交感神経とは逆で、リラックス、睡眠、休息時に働き、交感神経によって高まった心身を休める働きがあります。現代人は、交感神経の過活動により副交感神経の働きが鈍り、身体の回復遅延が起こりやすくなっています。そのことで、やはり様々な病気や症状を引き起こしやすくなっているのが問題とされています。

❙自律神経に関わる病気と症状

「自律神経失調症」 

自律神経のバランスが乱れることで起こる病気と症状とはどういったものがあるのでしょうか?皆さんよく聞いたことがあると思いますが、自立神経失調症という病気が代表的です。これはまさに現代人の多くの人がかかわっている病気といえます。
先に述べたように、自室神経は2つの神経がバランスよく働くことで成り立っています。しかし、ストレスにさらされることが多いこの社会において、交感神経が優位となり副交感神経では回復しきれない状態が長く続いている人が多いのです。交感神経の働きが強く長くなることで、常に活動している状態にあると考えられます。そのため、汗が多くでる、体がほてる、寒気がする、寝つきが悪い、眠りが浅い、動悸がする、呼吸が早くなるといった症状が見られます。
また、IT社会に伴い、パソコンを利用する時間が多くなっていることから、肩や首のコ凝り、頭痛などを引き起こし、血流が滞るといった症状が引き起こされやすくなっています。自律神経は、脳の中枢に位置しているため、この血流障害によってさらに自律神経の活動が妨げられていることも考えられます。そして、この2つの神経のスイッチがうまく切り替えられないことで、血圧や体温、視能のコントロールがスムーズにいかなくなるのです。
活動状態が長く続いているにもかかわらず、夜間作用する副交感神経が優位とならないため、また不眠状態にもなっていることから、疲れがとれない、倦怠感がある、朝スッキリ起きられない、また体力が回復されないことから、風邪を引きやすい、腰痛、関節炎といった様々な不定愁訴が現れてしまいます。

「頭痛」

 頭痛の多く(おおよそ7割)は、「緊張型頭痛」と言われています。緊張型の頭痛は、肩・首・頭が緊張状態にさらされ、筋肉が神経を圧迫することで起こります。また、残り3割の頭痛は「片頭痛」です。これは、血管が膨らみ、神経を圧迫することで生じます。
 自律神経との関係性からは、片頭痛型が大きく関わっていると言われています。その理由として、過度に長時間緊張状態に置かれ、交感神経が優位となる時間が長くなります。休息時間となったとき副交感神経が優位に切り替わりますが、交感神経が長く強く働いた分、副交感神経に切り替わった時に反動がでます。副交感神経は血管を膨張させる作用もありますので、血管が一気に広がり神経を圧迫してしまうのです。仕事が終わった夜や、休日に起こる頭痛は、片頭痛が大きく関与していると考えても良いかも知れません。

「眼症状」

 実は、眼精疲労やドライアイも自律神経に大きく関わっています。涙は、副交感神経の働きで分泌されます。交感神経が優位となる時間が長いことで、涙の分泌が妨げられますね。それによりドライアイが起こりやすくなると考えられます。また、肩や首・頭の凝りにより血流が障害され、目への血流が乏しくなります。これにより必要な栄養素や酸素が十分行き渡らず、疲労を促進させます。

❙対処方法

 上記に挙げた内容は代表的なもので、他にもパニック障害、めまい、消化器症状(便秘・胸やけ・食職不振など)腰痛、耳鳴り、過呼吸など多くの症状や病気を引き起こします。
 では、対処方法にはどのようなものがあるのか考えてみましょう。これらの症状は主に交感神経が優位となっていることで引き起こされると言えますね。では、日常生活の中で副交感神経を優位にする時間が少しでも作れれば、バランスが保てると考えられますね。隙間時間で取り入れられる簡単な方法をいくつか挙げてみます。

・ゆっくり深呼吸をする

 もっとも簡単な方法ですね。ゆっくり大きく深呼吸をしましょう。とくに、息を吐き出す呼気時間を長くすることで、ゆっくりした呼吸が行えますし、副交感神経も呼気時に優位となるので意識してみましょう。これなら、どんなに忙しくても誰でも取り入れられると思います。

・睡眠時間の確保

 睡眠時には副交感神経が優位となります。残業時間が長い人や仕事の関係で夜間の睡眠時間がなかなか取れない人も多いのが現状ですが、意識してみて下さい。また、早寝早起きが特に効果的とされています。

・入浴方法

 ややぬるめのお湯(38~40℃)に長く浸かることが効果的です。リラクゼーションにより副交感神経が優位となりますし、筋肉や肩・首などの凝りにも効果的です。シャワーだけですと体も温まらないため、入浴することが効果大です。

・軽めの運動

 水泳、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの軽くて楽しく取り入れられる運動が副交感神経を優位にさせると言われています。本格的な運動は、筋肉を傷つけたりして逆に回復するのに時間がかかります。

・冷暖房に注意

 暑い外から急に冷えた室内に入ったりすることで、自律神経の切り替えがうまくいかなくなります。また、自律神経の活動が鈍るとも言われます。職場や公共施設ではなかなか冷暖房の調整は難しいのが現状ですね。なので、自宅くらいは少し調整して外気との寒暖差がないように心がけましょう。

・アロマオイルを取り入れる

 アロマオイルは、その香りを利用しリラックス効果を高めます。それにより副交感神経が優位に働くのを助けます。自律神経がコントロールされ、自然治癒力を高めてくれます。

さいごに

 このように、日常生活の中で意識すれば副交感神経を優位にさせる方法が多くあります。自分を奮い立たせる交感神経ももちろん必要なものですが、副交感神経とのバランスが乱れては体調も崩してしまいます。うまくスイッチの切り替えをコントロールし、メリハリのある生活を心がけていきましょう。

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