もし、うつ病と診断されたら、生活はどう変わる?!

ストレス社会に反映し、近年うつ病患者が増加の一途をたどっていると言われています。
うつ病は、長期に(2週間以上)強い落ち込みが続いたり、何をするにもやる気がなく、眠れないなどと言った症状が続いたりします。これらの症状を放置すれば、日常生活においてさまざまな支障ときたすようになります。
早期に適切な治療が施されれば、また普段通りの日常生活を送ることが可能ですが、気持ちの問題、甘えていると勘違いと受けやすいことから、病院へ行くのが遅れてしまいがちというのも大きな問題とされています。
 うつ病は、風邪を引いた時のように、病院に行って薬を処方してもらえばすぐに良くなるというものではありません。仕事だけでなく、通常の日常生活を送ることすらままならなくなったり、人とのコミュニケーションもとるのが難しくなることもあります。うつ病と診断されたら、どのような生活となり、そして、どうしていくことが良いのかを考えてみましょう。

❙うつ病と疑われたら…

 うつ病の症状として、眠れない、食欲がない、動悸や息切れなどの自律神経症状などの身
体的症状や、物事を否定的に捉える、何も興味が持てず楽しいと思えない、ふさぎ込むとい
った精神的症状が見られます。これらは、長期(2週間以上)に及ぶことや、単一ではなく
いくつもの症状が重なって現れるのが特徴です。
 これらの症状が現れ、うつ病だと疑われたら、一人で考え抱え込むのではなく、だれかに
相談したり、地域の専門家や専門医を受診するなどで対応してみましょう。「どうせ誰かに
話しても変わらない」、「無駄だ」、「甘えていると思われるのが怖い」と思うのではなく、と
にかく誰かに話してみましょう。まずは、その一歩が大事です。
 

❙確定診断を受けたらやるべきこと

 病院へ行って、精神科医から‛うつ病’と確定診断を受けたら、次のようなことに注意して
日常生活を送りましょう。

1.医師から診断書を書いてもらいましょう。

 仕事をしている人は特に大切です。職場のスタッフにきちんと事実を伝えることは、
仕事を続けるうえで、また休職をした際には今後職場復帰するときなど理解を得るために
もとても重要なことだと言えます。
 また、国から保証されている傷病手当を受ける際にも必要になります。口頭では説明に苦
しみます。きちんと専門家に診て頂き、その証明として診断書が必要になります。こうした
社会資源を受けることで、休職中に生活費の心配をすることなく、しっかり休息をとること
ができるので利用していきましょう。

2.家族や友人などに話しましょう。

 うつ病にかかるとどうしても一人で抱え込んでしまう傾向にあります。それがどんどん
悪化させてしまう原因にもなります。一番身近な人に事実を話すことで、理解を得て、治療
に協力してもらえば、回復の手助けともなります。
「家族に迷惑がかかる」「負担に思われたくない」「甘えていると思われるのではないか?」
と心配しないでください。もし、不安があれば、一緒に病院へ行ってもらい、医師の説明を受けてもらいましょう。専門家からの意見を聞けば、家族も納得されたり、考えや態度が変わるかもしれません。また、家族にとっても生活面や接し方でよいアドバイスをもらえる機会ともなるかもしれません。

3.しっかり休みましょう

 休息をとることは、怠けることではありません。これは、大変重要な治療の一つです。しっかり睡眠をとり、十分に体を休めることで精神が安定した方向に向かいます。うつ病でなくても、私たち人間は、疲労によりイライラしたり気持ちが落ち込んだりするものです。休息をとることで、しっかり精神を安定させましょう。そして、規則正しい生活を送っていきましょう。

4.処方された薬はしっかり服用する。

 医師からうつ病と診断された場合、内服薬を処方されるケースが多いです。これらの薬は、精神を安定させたり、眠りを助けたりなどの作用がありますが、即効性があるわけではなく、ゆっくり時間をかけていくものです。すぐに症状が良くならないからといって、自己中断するのはやめましょう。もし、納得いかないようであったり、副作用に悩まされる場合は、医師にしっかり相談して、納得した治療を受けましょう。
 薬に頼るのはよくないのでは…と思う方もいらっしゃいますが、必要だから処方されているということも理解しておきましょう。しっかり医師と話し合い、納得した上で治療を開始していきましょう。そして、継続することが大切です。

5.陽の光を浴びましょう。

 時には外に出てゆっくり散歩する、軽い運動をするという活動もしてみましょう。症状が軽くなって来たら「治ったのかな?」と思ってしまいますが、それでいきなり仕事を再開させるのはよくありません。少しずつ体と心を慣らしていくことは大切です。
 外気に触れ、陽の光を浴びるということは、自律神経のバランスを整える上でも効果的なことです。腹式呼吸で深呼吸をすることは、脳内のセロトニンを増やすにも効果的だとか。セロトニンは、心のバランスを取るのに効果的だと言われています。このように、簡単なことで良いので、負担にならない程度に始めてみましょう。

❙いつも、こんなことを心がけましょう

 やるべきことは上記の5点です。ほかに日常生活で自分の心に意識して関わっていくこと、向き合うことも必要です。どんなことに意識したらよいでしょう。

・無理はしない

 うつ病にかかりやすい人の特徴として、「責任感が強い」「無理してでもやり遂げる」「完璧主義」などがあげられます。これらの特徴により、休職中であれば仕事のことが気になり回復前に復帰してしまう、育児や家事がある人は、つらい状態でも家族のためにこなしてしまうなど、うつ病を悪化させてしまう要因となってしまいます。治療中は、意識して自分の体と心を休めることが今の自分には一番の仕事だと思うようにしましょう。

・焦らない

 うつ病は、精神の不安定などの疾患なので、身体的な病気と違い明確な痛みや身体の不自由があるわけではありません。そして、すぐに回復するわけではないのです。良くなったり悪くなったりと一進一退を繰り返したりします。しかし、焦りは禁物です。そういうものだと理解し、ゆっくり気長に付き合っていくことです。色々考えていくと不安になったり焦ったりしてしまいます。何も考えない、他のことを考えるなど難しいことですが、意識して気持ちをコントロールしていきましょう。

・自分の性格や傾向と向き合う

 社会復帰をする前に、自分の心をしっかり見てみましょう。今までは、人のことばかり考えて、自分を追い込んだり、犠牲にしてきた方が多いのではないでしょうか?それではまた辛くなってしまいます。今までの自分はどうだったのか、責めるのではなく、見つめてみるのです。それがどう影響し、どんなことがつらかったのかを知ってみましょう。きっと社会とつながるときに違った自分を見出すキッカケとなります。

さいごに

 うつ病は心の病気なので、本人にとっても周囲にとっても大変つらいものだと思います。しかし、しっかり早期に治療していけば、また日常生活に適応し、有意義に生活を送ることができます。もし、自分が、家族が、友人が診断されたら、これらのことに意識を傾け、ままた自分らしい人生を歩んで行くために、治療に取り組んでいきましょう。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク