うつ病は自分でチェックできる!

 
今、IT社会によって社会全体が情報社会となり、一人当たりの情報処理量が増しています。また、うつ病に対する薬の開発が進み、製薬会社による影響などからうつ病と診断され受診・休職している人が増えています。こうした理由から、現在うつ病の患者さんが増加傾向にあると言われています。
 そして、うつ病は女性に多いという報告もあります。これは、性ホルモンの変化によるものや、結婚・出産などの環境の変化にさらさる機会が多いことが理由です。今、ネット上ではうつ病に対するセルフチェックができるサイトが多くみられます。うつ病は、早期に発見して早期対応をすれば、正常な日常生活を送ることができるので、セルフチェックを活かすことも大切と言えるでしょう。
今回は、女性に多いうつ病の原因をもっと詳しく知り、うつ病のセルフチェックにはどのような内容があるのかを見ていきましょう。

❙女性に多いうつ病;その原因

 先にも述べたように、女性は環境・性ホルモンの変化に曝され易く、これがキッカケでうつ病が引き起こされやすいことが原因の一つとしてあげられます。では、原因と考えられているのは、どのようなものがあるのかここで紹介します。

=月経前症候群(PMS)・月経前不機嫌性障害(PMDD)

 これは、女性のホルモン周期によって伴う症状です。
PMSは、生理の3~10日前に精神的もしくは身体的な症状が出現することで、生理が来ると症状が減退したり消失するものを言います。症状としては、腰痛、下腹部痛、肩こり、頭痛、乳房の痛み、肌荒れやむくみ、イライラ、不眠などがあげられます。
PMDDは、PMSより症状が強く、日常生活に支障が出るほどの精神的な症状が強く出るのが特徴です。自己卑下、無気力、絶望感などの症状ですが、生理が始まって数日経てば消失し、日常の生活に戻ります。しかし、これらの症状により強い抑うつ状態が継続することで、うつ病の原因になってしまいます。

=マタニティーブルー(産褥期うつ病)

 産後まもなくして情緒不安定になることをマタニティーブルーと言います。多くのホルモンが胎盤で作られますが、出産とともにこの胎盤が剥がれ体外に排出されることで、急激にホルモンに変化が起きます。これにより精神的不安定となるのですが、通常は10日~2週間程度で体も慣れ、精神的に落ち着いてきます。しかし、産後2~3週間、3か月くらいの間に発症する産後うつ病は要注意で、治療が必要となります。やはりこれもホルモンバランスの崩れによって発症を引き起こすキッカケとなっています。

=更年期障害

 加齢や閉経によって、エストロゲンなどのホルモンが減少・欠乏することで、脳の自律神経に影響を与え、体のほてり、だるさ、発汗、寝つきが悪い、憂鬱感や情緒不安定などの症状を引き起こします。45~55歳(更年期)から閉経するまでの約10年間ありますが、ホルモンの変化に慣れることで自然に改善されると考えられています。
 しかし、同時にうつ病を発症しているケースもありますので、日常生活に支障をきたすほどの状態であれば、うつ病も疑い、専門医へ受診することをお勧めします。

=甲状腺機能の異常

 甲状腺もホルモンの分泌を司る器官です。この機能の低下や増加により、ホルモンが欠乏したり多く分泌されてしまうことで、体のほてり、発汗、むくみ、食欲の変化、疲労感、イライラや抑うつ状態などの症状が現れます。そして、精神的な症状がきっかけで、うつ病を併発させることがあります。甲状腺機能異常の場合は、ホルモン補充療法を行うことで、ホルモンの分泌量を調整し、甲状腺機能とうつ病の治療を同時に行うことができます。

 これらの他に、「まじめ」「責任感が強い」などの個人の性格傾向や職場での人間関係、長時間労働などによるストレスが性ホルモンのバランスが乱れ、それに伴いうつ病を発症させるキッカケとなるので注意が必要です。

❙うつ症状のセルフチェック

 
最近2週間で当てはまる項目をチェックしてください。

1 毎日の生活に充実感がない・・・・・・・・・・・□
2 これまで楽しんでやれていたことが、
楽しめなくなった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・□
3 以前は楽にできていたことが、
今ではおっくうに感じられる・・・・・・・・・□
4 自分が役に立つ人間だと思えない・・・・・□
5 わけもなく疲れたような感じがする・・・□
6 死について何度も考えることがある・・・□
引用元:http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/common/000051802.pdf
 
これらのチェック項目のうち、チェックが2つ以上で、2週間以上毎日続き、つらい気持ちになったり生活に支障がある人は、うつ病の疑いがあるとされています。

❙もし、うつ病が疑われたら?!

 セルフチェックをしてみて、もしうつ病が疑われたら、自分はどうしたら良いでしょうか?そして、家族や友人はどう対応したら良いのでしょうか?もちろん誰かに相談したり、専門医を受診したりすることが大切なのですが、日常生活の中で私たちができることもあるので、下記のことに気を付けてみて下さい。

〈本人〉

・仕事や家事、学業のペースを落とす。できれば休養するこが一番。
・焦らない、無理しない、考えない
・外に出て陽の光を浴びる、深呼吸をする
・規則正しい生活を送る
・睡眠時間をしっかり確保する
・大きな決断はしない
・薬が処方されていれば、しっかり内服する(自己中断はしない)
・気持ちや状態を医師や保健師、家族、友人に話す

〈家族・友人・周囲の人〉

・ゆっくり休ませてあげる。無理に外出や運動を勧めない。
・誰かに相談する。治療することを勧める。本人はうつ病だと気づきにくいので、専門医への相談(受診)を勧め、可能であれば一緒に付き添う。
・心配しすぎない
・頑張れ!など励まさず、その人のペースを尊重する。
・ゆっくり話を傾聴する。怠け者扱いをしない。
・原因を追究し過ぎたり、考え込み過ぎない。

さいごに

だれでも当てはまるような内容が多くみられ、ドキッとされた方も多いのではないので
しょうか?しかし、人間ですから、このような症状や状態は誰しも経験するものです。ポイントは、この状態が長く(2週間以上)続くということです。いつまでたっても抑うつ的な状態が続き、日常生活を送ることもままならなくなってしまえば、うつ病の可能性が考えられます。自分や周囲の人にその気配を感じることがあれば、早めに誰かに相談し、専門医に受診するなどの対応をしましょう。早期対応をすることで、正常な日常生活を送ることができ、人生を豊かに過ごすことができるのです。

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